港区で取引された中古マンションを専有面積1㎡あたりの値段で並べると、真ん中は200万円になる。足立区では588,235円、約58.8万円。同じ東京23区の中で3.4倍の開きがある。価格そのものの中央値で見ても、港区の1億1,000万円と足立区の3,200万円で差は7,800万円、こちらも約3.4倍だ。
数字の出どころは国土交通省「不動産情報ライブラリ」の「不動産価格情報」で、2025年第2四半期から2026年第1四半期までの4四半期分を、当サイトが区ごとにまとめ直した(2026年9月1日時点)。国土交通省が公表している統計ではない。値はすべて中央値で、平均値ではない。中央値を見るのは、少数の高額な取引に平均が引っ張られるのを避けるためで、半分の取引はこの値より安く、半分は高い。
23区を㎡単価の中央値で並べる
下の表は、23区を専有面積1㎡あたりの価格の中央値が高い順に並べ、価格の中央値を横に添えたもの。同じ4四半期分の集計で件数を見ると、最も少ない千代田区が570件、最も多い江東区が2,908件(2026年9月1日時点)。この集計では件数が10件未満の行に統計値を出していないが、23区でそこに引っかかる区はない。
| 順位と区 | ㎡単価の中央値 | 価格の中央値 |
|---|
| 1位 港区 | 2,000,000円 | 1億1,000万円 |
| 2位 中央区 | 1,828,571円 | 1億円 |
| 3位 千代田区 | 1,750,000円 | 7,200万円 |
| 4位 渋谷区 | 1,600,000円 | 8,000万円 |
| 5位 目黒区 | 1,371,429円 | 6,900万円 |
| 6位 文京区 | 1,338,462円 | 6,000万円 |
| 7位 新宿区 | 1,320,000円 | 5,400万円 |
| 8位 品川区 | 1,300,000円 | 6,000万円 |
| 9位 豊島区 | 1,171,429円 | 4,700万円 |
| 10位 台東区 | 1,160,000円 | 4,800万円 |
| 11位 江東区 | 1,157,895円 | 6,600万円 |
| 12位 中野区 | 1,096,667円 | 4,800万円 |
| 13位 世田谷区 | 1,062,500円 | 6,400万円 |
| 14位 墨田区 | 1,040,000円 | 4,200万円 |
| 15位 杉並区 | 980,000円 | 4,600万円 |
| 16位 北区 | 960,000円 | 4,500万円 |
| 17位 大田区 | 909,091円 | 3,800万円 |
| 18位 荒川区 | 885,714円 | 5,000万円 |
| 19位 板橋区 | 800,000円 | 3,400万円 |
| 20位 練馬区 | 787,500円 | 3,800万円 |
| 21位 江戸川区 | 670,588円 | 4,600万円 |
| 22位 葛飾区 | 628,571円 | 3,400万円 |
| 23位 足立区 | 588,235円 | 3,200万円 |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の「不動産価格情報」(中古マンション等、2025Q2〜2026Q1の4四半期分)を当サイトが区別に集計した中央値。
上位は港区、中央区、千代田区、渋谷区の4区が160万円以上で並び、5位の目黒区で137万円台まで下がる。100万円を割るのは杉並区から下の9区。江戸川区と葛飾区が60万円台、足立区だけが50万円台だ。
価格で並べ直すと順位が動く区
㎡単価の順と価格の順は同じにならない。江東区は㎡単価では11位だが、価格の中央値6,600万円は23区で6位に入る。世田谷区も13位から7位へ上がる。逆に豊島区は㎡単価では9位なのに、価格では14位まで下がる。
順位が動いた区の面積の中央値を並べると、広い区が上に、狭い区が下に動いている。価格は㎡単価と面積の掛け算なので、取引された部屋が広ければ価格の順位は上がる。
| 区 | 面積の中央値 | 順位の動き |
|---|
| 荒川区 | 60㎡ | ㎡単価18位、価格11位 |
| 世田谷区 | 60㎡ | ㎡単価13位、価格7位 |
| 江東区 | 65㎡ | ㎡単価11位、価格6位 |
| 江戸川区 | 70㎡ | ㎡単価21位、価格16位 |
| 千代田区 | 45㎡ | ㎡単価3位、価格4位 |
| 新宿区 | 45㎡ | ㎡単価7位、価格10位 |
| 豊島区 | 45㎡ | ㎡単価9位、価格14位 |
| 墨田区 | 45㎡ | ㎡単価14位、価格18位 |
出典:同上。面積は専有面積の中央値。「不動産価格情報」で面積が8888・9999と記録されたレコードは上限帯以上を示す符号で実測値ではないため、当サイトの集計では面積と㎡単価の算出から除いている。
上に動いた4区はどれも60㎡以上、下に動いた4区はどれも45㎡。江戸川区は㎡単価では下から3番目なのに、23区で最も広い70㎡という中央値が効いて、価格では16位に収まる。ただし60㎡でも順位が変わらない練馬区、葛飾区、足立区のような区もある。順位は面積だけでなく、隣り合う区との差でも決まる。
もう一つ、価格の中央値は㎡単価の中央値と面積の中央値を掛けた数にはならない。三つの数字はそれぞれ別に真ん中をとっているからだ。同じ集計で港区の面積の中央値は55㎡で、㎡単価の中央値200万円を掛けるとちょうど1億1,000万円になるが、千代田区の175万円×45㎡は7,875万円で、価格の中央値7,200万円とは合わない。
同じ価格で広さが違う組
価格の中央値が同じ区の組が五つある。文京区と品川区の6,000万円、台東区と中野区の4,800万円、杉並区と江戸川区の4,600万円、大田区と練馬区の3,800万円、板橋区と葛飾区の3,400万円だ。どの組でも、㎡単価が低いほうの区で面積の中央値が広い。杉並区と江戸川区が分かりやすく、㎡単価は98万円と約67.1万円、面積の中央値は50㎡と70㎡。同じ4,600万円で、真ん中の部屋の広さが20㎡違う。
予算5,000万円で買える広さ
自分の数字と比べるなら、価格の中央値を予算に置き換えて読むのが早い。仮に5,000万円とすると、価格の中央値がこれ以下の区は、ちょうど5,000万円の荒川区を含めて13区ある。価格の順で11位の荒川区から23位の足立区までがそれにあたる。
ただし「中央値が5,000万円以下」は、その区で取引の半分が5,000万円以下だったという意味でしかない。残りの10区にも5,000万円以下の取引はあり、13区にもそれより高い取引はある。区で線を引くと、線の両側にある取引を見落とす。
広さに直すと違いははっきりする。5,000万円を㎡単価の中央値で割った机上の目安は、港区で25㎡、渋谷区で31㎡、世田谷区で47㎡、練馬区で63㎡、足立区で85㎡。同じ予算で手が届く広さが、区をまたぐと3倍以上変わる。荒川区の価格が5,000万円で11位に入るのも、㎡単価は18位でも真ん中の部屋が60㎡あるからだ。
年収の側から地域の差を見るなら、都道府県別の平均年収と並べて読める。住まいの値段は、収入と並べてはじめて自分の数字になる。
中央値の裏にある二つの母集団
「不動産価格情報」には母集団が二つ混ざっている。登記をもとに取引の当事者へアンケートした不動産取引価格情報と、宅建業者が仲介した成約を集めた成約価格情報で、前者は答えた人のぶんだけ、後者は仲介を通った取引だけが入る。表の中央値は両方のレコードを合わせて出した値で、どちらか片方の「相場」ではない。当サイトの集計では行の過半が片方の母集団だけでできていて、区ごとにどちらが多いかで中央値の性格は変わる。
期間も確定していない。4四半期のうち直近の2026年第1四半期は国土交通省の公表が進行中で、件数が固まっていない。表の数字は今後の公表で動きうる。
㎡単価の分母も種類で違う。当サイトの集計では、中古マンション等の㎡単価は専有面積1㎡あたりだが、同じ「不動産価格情報」でも宅地(土地と建物)は土地面積1㎡あたりで、分子の価格には建物が含まれる。種類をまたいで㎡単価を並べても比べたことにはならない。ここに出した数字は、中古マンション等の中だけで読むものだ。
表を見るときは、㎡単価で区の高さを、価格の中央値で実際に動いた部屋の値段を、面積の中央値でその広さを読む。三つを合わせてはじめて、自分の予算がどの区でどのくらいの広さになるかが見えてくる。