この記事の「年収」は、賞与なしで年収を12等分した月額給与を前提にした試算だ。同じ年収でも賞与の比率が違えば保険料は変わる。その前提で見ると、「社会保険料は年収の約15%」という言い方は、年収800万円あたりまでなら大きくは外れない。2026年度(令和8年度)の料率で東京都・39歳以下・扶養なしの会社員を計算すると、年収300万円で15.3%、500万円で14.5%、800万円で14.6%になる。ところが1,200万円では11.4%、1,800万円では9.1%まで落ちる。給与から引かれる保険料は四つに分かれていて、そのうち厚生年金の月例給与分が、年収換算でおよそ762万円から先で増えなくなるためだ。
四つの保険料は、料率も、料率をかける相手も違う
会社員が負担するのは健康保険、子ども・子育て支援金、厚生年金保険、雇用保険の四つ。40歳から64歳はこれに介護保険料が加わって五つになる。
| 保険 | 本人負担の料率 | 料率をかける対象 |
|---|
| 健康保険 | 9.85%の半分 | 標準報酬月額(協会けんぽ東京都) |
| 介護保険 | 1.62%の半分 | 標準報酬月額(40〜64歳のみ) |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23%の半分 | 標準報酬月額 |
| 厚生年金保険 | 18.3%の半分 | 標準報酬月額 |
| 雇用保険 | 5/1000 | 実際の賃金(一般の事業) |
出典:協会けんぽ 令和8年度 都道府県毎の保険料率/日本年金機構 厚生年金保険料額表(令和8年)/厚生労働省 令和8年度雇用保険料率のご案内
「半分」とあるのは、料率の全体のうち本人が負担するのが半分だという意味だ。この記事の金額はすべて本人負担で計算している。
健康保険と子ども・子育て支援金と厚生年金は、実際の給与ではなく標準報酬月額という区切られた額にかかる。賞与にかかる厚生年金保険料は、月例給与とは別に標準賞与額を使って計算される。雇用保険だけは等級を通さず、実際に支払われた賃金へ5/1000がそのままかかる。健康保険の9.85%は東京都の料率で、他の道府県では別の値になる(協会けんぽの都道府県差)。厚生年金の18.3%は全国一律だ。
年収が6倍になっても保険料は3.6倍
| 年収(賞与なし) | 社会保険料の合計 | 年収に対する割合 |
|---|
| 300万円 | 457,728円 | 15.3% |
| 400万円 | 598,952円 | 15.0% |
| 500万円 | 723,148円 | 14.5% |
| 600万円 | 881,400円 | 14.7% |
| 700万円 | 1,039,652円 | 14.9% |
| 800万円 | 1,164,964円 | 14.6% |
| 1,000万円 | 1,265,684円 | 12.7% |
| 1,200万円 | 1,366,404円 | 11.4% |
| 1,500万円 | 1,556,796円 | 10.4% |
| 1,800万円 | 1,644,372円 | 9.1% |
出典:協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省の2026年度保険料額表をもとにした当サイトの算出(賞与なしで年収を12等分した月額給与、東京都・39歳以下・扶養なし、料率の確認日2026年9月13日)
年収300万円の457,728円から1,800万円の1,644,372円まで、年収が6倍になる間に社会保険料は3.6倍にしか増えない。割合にすると15.3%が9.1%になる。
300万円から800万円までの区間は、きれいな下り坂ではない。500万円で14.5%まで下がり、700万円で14.9%に戻り、800万円でまた14.6%になる。標準報酬月額が等級で区切られていることと関係していそうだが、ここは推測にとどまり、等級の境目そのものは昇給で手取りが減る境界で扱った。
雇用保険料と子ども・子育て支援金は、合計の中では小さい。雇用保険料は年収300万円で15,000円、1,800万円で90,000円。子ども・子育て支援金は同じ年収で3,588円と19,182円。どちらも、それぞれの年収の合計の1割に届かない。
賞与なしの月給換算では、厚生年金は762万円目安で上限に届く
月例給与に対する上限は二つあるが、来る場所がまったく違う。厚生年金の標準報酬月額は650,000円が上限で、32等級にあたる。月額報酬635,000円以上はすべてこの等級に入る。賞与なしで月額報酬を12倍した年収に換算すると、およそ762万円で月例給与分の厚生年金保険料が上限に届く。
健康保険の上限は標準報酬月額1,390,000円、50等級。月額報酬1,355,000円以上が対象で、同じく賞与なしで12倍した年収の目安はおよそ1,626万円。762万円の倍以上先にある。いずれも一般的な「年収の上限」ではなく、月額報酬から換算した目安であり、賞与分の保険料は別に計算される。
| 年収(賞与なし) | 厚生年金 | 健康保険 |
|---|
| 700万円 | 647,820円 | 348,690円 |
| 800万円 | 713,700円 | 401,880円 |
| 1,000万円 | 713,700円 | 490,530円 |
| 1,500万円 | 713,700円 | 750,570円 |
| 1,800万円 | 713,700円 | 821,490円 |
出典:同上(賞与なしで年収を12等分した月額給与、東京都・39歳以下・扶養なし)
厚生年金は、上限に届くまでは四つの中で一番重い。年収500万円なら合計723,148円のうち450,180円で、6割を超える。賞与なし・月給換算で年収約762万円に達すると月例給与分は上限に届き、そこから上で増えるのは健康保険と子ども・子育て支援金と雇用保険だけになる。賞与分の厚生年金保険料は標準賞与額で別に計算される。年収1,500万円では、健康保険料750,570円が厚生年金保険料713,700円を追い越す。
40歳から64歳は介護保険料が上乗せされる
介護保険料は健康保険料に上乗せする形で引かれる。東京都・扶養なしで計算すると、年収400万円で33,048円、600万円で48,600円、800万円で66,096円。
合計は順に632,000円、930,000円、1,231,060円になり、年収に対する割合は15.8%、15.5%、15.4%。39歳以下の同じ年収と比べると、三つとも0.8ポイント高い。この年齢のあいだは、同じ年収でも社会保険料はその分だけ多い。
引かれた分がそのまま手取りから消えるわけではない
払った社会保険料は全額が社会保険料控除になり、所得税の課税所得から引かれる。保険料が増えれば、その分だけ所得税の計算のもとになる額は小さくなる。
ここまでの金額は、賞与なしで年収を12等分した月額給与、東京都・扶養なし・年齢で区切った条件つきの計算だ。健康保険の料率は都道府県で違い、40歳の前後で介護保険料の有無が変わる。当サイトの手取り計算ツールでは、年収と都道府県と年齢を入れると四つの保険料の内訳が出る。