給与明細から引かれる健康保険料や厚生年金保険料は、手取りを減らす。それと同時に、所得税と住民税を計算するときには全額が所得から差し引かれる。これが社会保険料控除だ。
当サイトの2026年度の試算では、年収600万円(東京都・45歳・扶養なし・協会けんぽ)の社会保険料は年930,000円、年収に対して15.5%になる。この930,000円は手取りから消えるが、課税所得を出すときにも同じ額が引かれている。どこで引かれるのかを、料率と内訳の順に追う。
本人負担は料率の半分、東京都45歳の試算で930,000円
| 保険 | 本人負担の料率 | モデル試算の年額 |
|---|
| 健康保険 | 4.925%(9.85%の半分) | 295,500円 |
| 介護保険(40〜64歳) | 0.81%(1.62%の半分) | 48,600円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.115%(0.23%の半分) | 6,900円 |
| 厚生年金保険 | 9.15% | 549,000円 |
| 雇用保険 | 5/1000 | 30,000円 |
| 合計 | | 930,000円 |
出典:料率は協会けんぽ「令和8年度 都道府県毎の保険料率」、日本年金機構「厚生年金保険料額表(令和8年)」、厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」。年額は当サイトの2026年度試算(東京都・45歳・扶養なし・協会けんぽ)。
健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金は労使で折半するため、本人の負担は料率の半分になる。健康保険の9.85%は協会けんぽの東京都の値で、料率は都道府県で違う。厚生年金の本人負担9.15%は全国一律だ。雇用保険だけは等級を使わず実際の賃金にかかり、一般の事業で5/1000(料率の最終確認日は2026-09-13)。
この試算は年収を全額月給として扱い、月額500,000円を標準報酬月額とみなしている。表の年額は、その月額に本人負担の料率を掛けて12倍したモデル値であり、実際の標準報酬月額の決定結果とは一致しない場合がある。合計930,000円のうち549,000円が厚生年金で、5種類の保険料の合計の半分を超える。
給与所得から課税所得までに、二つの控除が入る
年収から最初に引かれるのは給与所得控除で、600万円なら1,640,000円。残りの4,360,000円が給与所得になる。社会保険料控除と基礎控除が入るのは、この給与所得のあとだ。住民税用の給与所得も同じ4,360,000円になる。
| 段階 | 金額 |
|---|
| 年収(額面) | 6,000,000円 |
| 給与所得控除 | −1,640,000円 |
| 給与所得 | 4,360,000円 |
| 社会保険料控除 | −930,000円 |
| 基礎控除(所得税) | −1,040,000円 |
| 課税所得(所得税) | 2,390,000円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 144,472円 |
| 住民税 | 301,500円 |
| 手取り | 4,623,028円 |
出典:当サイトの2026年度試算(年収600万円・東京都・45歳・扶養なし・協会けんぽ)。控除の区分は国税庁タックスアンサー No.1410「給与所得控除」、No.1199「基礎控除」による。
課税所得2,390,000円は、給与所得4,360,000円から社会保険料控除930,000円と基礎控除1,040,000円を引いた額だ。社会保険料控除がなければ、税率のかかる金額は930,000円分多くなる。所得税144,472円には復興特別所得税が含まれ、住民税301,500円は所得割297,500円と均等割4,000円の合計で、これとは別に森林環境税1,000円を住民税と一緒に納める。手取りは4,623,028円、手取り率は77.1%。
保険料が決まらないと所得税も住民税も決まらない、という順序がここに出ている。額面から手取りにたどり着くまでの段階の並びは手取りは五段階の順に決まるでも扱っている。
40歳になると、控除される額も増える
介護保険料は40〜64歳だけにかかる。45歳のこの試算では48,600円が上乗せされ、その分だけ社会保険料控除も増える。他の条件が同じなら、額面が同じでも年齢によって課税所得は変わる。
介護保険料は健康保険料に上乗せされる形で引かれ、子ども・子育て支援金も健康保険料と一緒に徴収される。明細で行が分かれていなくても、税の計算ではどちらも社会保険料控除に入る。
頭打ちになる保険と、ならない保険
厚生年金の標準報酬月額の上限は650,000円(32等級、月額635,000円以上)。健康保険の上限は1,390,000円(50等級、月額1,355,000円以上)。等級が上限に届いたあとは月額が増えても保険料は変わらず、社会保険料控除もそこで止まる。上限に当たる年収の位置は賞与なしなら厚生年金の上限は年収762万円目安で見ている。
雇用保険は等級を使わない。実際の賃金に5/1000がかかるので、賃金が増えればそのまま増える。
この数字が成り立つ条件
- 標準報酬月額は本来、4〜6月の平均から決まり9月から翌年8月まで適用される。この試算は月額から直接求めているので、昇給した月からすぐ変わる前提になっている。
- 賞与には標準賞与額という別の計算単位と上限(健康保険は年573万円、厚生年金は月150万円)がある。賞与の比率が高い人は標準報酬月額と標準賞与額に分けて計算する必要があり、この単純計算と一致しない場合がある。
- 住民税は前年の所得にかかり、6月から翌年5月に納める。ここでは同じ年の所得にかけている。前年に課税対象となる所得がなければ就職1年目の住民税は原則0円だが、前年にアルバイトや前職の所得があれば課税される。
- 均等割は標準税率の4,000円(道府県民税1,000円・市町村民税3,000円)と森林環境税1,000円で計算していて、横浜市や茨城県内の市町村のような超過課税の上乗せは含まない。所得割は標準税率に調整控除を適用しており、政令指定都市は配分が市民税8%・道府県民税2%で、税ごとに100円未満を切り捨てるため合計が100円違うことがある。
- 協会けんぽの料率で計算している。組合健保や共済組合の加入者は料率が違う。組合費・財形・社宅といった会社ごとの控除も入っていない。
年収も年齢も都道府県も違えば、930,000円も144,472円も自分の数字ではない。自分の額面で同じ順番をたどるなら、手取り計算ツールに年収を入れると内訳が出る。