2023年の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)をもとにした当サイトの推計では、男女計で東京都と福岡県の推計平均年収の差は、30〜34歳で78万円、45〜49歳で137万円になる。同じ2つの都県をくらべても、見る年齢層を変えるだけで差は59万円広がる。転勤や移住の候補を年収で見比べるなら、まず年齢層をそろえないと「どれだけ違うのか」が定まらない。
ここでの推計年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算した、額面の平均値だ。税や社会保険料を引く前の金額で、手取りではない。中央値でもないので、その県で真ん中に位置する人の年収を示す数字ではない。
年齢をそろえる理由
県ごとに働く人の年齢構成は違う。若い人の多い県と40代・50代の多い県を全年齢の平均でくらべると、年齢構成の違いが県の差のように見えてしまう。そこで今回は、首都圏・中京・関西・九州の中心になる東京都・愛知県・大阪府・福岡県を例に、男女計の30〜34歳と45〜49歳を並べた。
| 都府県 | 30〜34歳(全国順位) | 45〜49歳(全国順位) |
|---|
| 東京都 | 511万円(1位) | 680万円(1位) |
| 大阪府 | 492万円(4位) | 613万円(3位) |
| 愛知県 | 481万円(5位) | 596万円(4位) |
| 福岡県 | 433万円(23位) | 543万円(16位) |
| 47都道府県の単純平均 | 427万円 | 517万円 |
出典:賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_年齢階級別DB」2023年をもとにした当サイトの推計(企業規模10人以上・産業計・一般労働者、男女計)
差は金額でも割合でも開く
東京都と福岡県の差を福岡県の推計年収で割ると、30〜34歳は78÷433で約18%、45〜49歳は137÷543で約25%になる。年収の水準が上がったから差の金額が大きくなった、というだけではなく、割合で見ても45〜49歳のほうが開いている。
4都府県の並び順は、この2つの年齢層では変わらない。ただし全国順位は動く。福岡県は30〜34歳で23位、45〜49歳で16位だ。47都道府県の単純平均との差も、30〜34歳の6万円上から45〜49歳の26万円上へ広がる。大阪府と愛知県の差は30〜34歳で11万円、45〜49歳で17万円と、どちらも大阪府が上にある。
ここで示したのは2つの年齢層だけなので、年齢層によっては並び順そのものが入れ替わることもある。候補の県をくらべるときは、自分の年齢層に加えて前後の年齢層も見ておくと、差の大きさがどれくらい安定しているかが分かる。
月給と賞与に分けると愛知の位置が変わる
推計年収を月給と賞与に分けると、別の顔が見える。30〜34歳の愛知県は、きまって支給する現金給与額が月32.7万円で、東京都の35.5万円や大阪府の33.7万円より低い。年間賞与は88.4万円で、4都府県のなかでもっとも多い。月給だけで比べるか、賞与まで入れるかで、愛知県の見え方は変わる。
45〜49歳になると、年間賞与も東京都が136.7万円で最多になり、愛知県は123.4万円だ。表の月額は0.1万円単位に丸めてあるため、手で計算し直すと推計年収と1万円ずれることがある(大阪府の45〜49歳は612万円になる)。
この金額に含まれていない条件
数字を自分に当てはめる前に、次の点を押さえておきたい。
- 事業所の所在地で集計している。勤め先がある県の数字で、住んでいる県の数字ではない。
- 物価、家賃、通勤費の差は入っていない。年収が高い県が暮らしやすいかどうかは、この数字だけでは決まらない。
- 産業計の数字なので、業種や職種をそろえた比較ではない。
- 同じ年に年齢層ごとに集計した数字だ。45〜49歳の金額は、いま30代の人が15年後に受け取る額を示すものではない。
暮らしの余裕をくらべるには、手取りと住まいの費用を別に確かめる必要がある。都道府県ごとの平均年収を手取りに直した試算は都道府県の推計平均年収を手取り試算した記事にまとめている。
自分の候補でくらべるときの順番
都道府県別の平均年収くらべツールでは、今いる県と候補の県を選べば同じ比較ができる。使うときは、男女区分と年齢層を自分に合わせてそろえたうえで、隣の年齢層にも切り替えて差の動き方を確かめる。そのうえで手取りと家賃を別に見積もる、という順で読むと、県の差と年齢構成の差を取り違えにくい。30代の県差が年齢層の前半と後半でどう広がるかは30代の平均年収を都道府県でくらべた記事でも扱っている。