さいたま市で中古マンションの㎡単価中央値がもっとも高い区は大宮区の850,000円/㎡、もっとも低い区は西区の116,000円/㎡だった。同じ市の中で7.33倍ひらく。国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報を区ごとに集計したもので、期間は2025Q2から2026Q1の4四半期、データの取得は2026年9月1日時点。対象は政令市20市の162区で、東京23区は特別区であり政令市の区ではないため含まない。
数値はすべて中央値で、平均ではない。集計に入るレコードは2種類ある。登記をもとにした当事者アンケート(不動産取引価格情報)と、宅建業者が仲介した成約(成約価格情報)で、この記事の中央値は両方を合わせて算出したものだ。
埼玉県として一つの数字にまとめると、大宮区と西区の間の開きは見えなくなる。区別の中央値まで下げて見ると、同じ市名だけでは予算の手がかりが足りないことが分かる。
高い区を持つ市が、ひらいた市とは限らない
162区で㎡単価中央値の最高は川崎市中原区の1,050,000円/㎡(855件)。横浜市西区の1,030,000円/㎡、大阪市北区の933,333円/㎡が続く。ところが川崎市の市内格差は2.45倍で、20市のうち上から10番目に収まる。
川崎市でもっとも低い麻生区でも、㎡単価中央値は428,571円/㎡ある。この水準をさいたま市の10区に並べ直すと、上から5番目に入る。中原区の単価を東京23区と比べた見方は別の記事で扱っている。
逆にさいたま市と神戸市が上位に来るのは、850,000円/㎡や683,333円/㎡(神戸市中央区)の区と、116,000円/㎡、114,286円/㎡(神戸市北区)の区を同じ市が抱えているからだ。倍率は最大値と最小値の両方で決まり、この2市では低い区の水準も差を広げている。
開きの大きい5市と小さい5市
| 市 | 市内格差 | 最も高い区と最も低い区の㎡単価中央値 |
|---|
| さいたま市(10区) | 7.33倍 | 大宮区 850,000円/㎡ → 西区 116,000円/㎡ |
| 神戸市(9区) | 5.98倍 | 中央区 683,333円/㎡ → 北区 114,286円/㎡ |
| 横浜市(18区) | 3.75倍 | 西区 1,030,000円/㎡ → 旭区 275,000円/㎡ |
| 大阪市(24区) | 3.57倍 | 北区 933,333円/㎡ → 住之江区 261,538円/㎡ |
| 名古屋市(16区) | 3.37倍 | 中区 622,222円/㎡ → 港区 184,615円/㎡ |
| 岡山市(3区) | 1.54倍 | 北区 328,571円/㎡ → 中区 213,810円/㎡ |
| 北九州市(7区) | 1.42倍 | 八幡東区 194,118円/㎡ → 八幡西区 136,842円/㎡ |
| 仙台市(5区) | 1.32倍 | 太白区 341,176円/㎡ → 泉区 258,824円/㎡ |
| 相模原市(3区) | 1.24倍 | 緑区 381,818円/㎡ → 中央区 307,692円/㎡ |
| 静岡市(3区) | 1.24倍 | 葵区 320,000円/㎡ → 清水区 258,824円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(不動産価格情報)をもとに集計。2025Q2〜2026Q1の中古マンション等、いずれも中央値。
表に載せたのは20市のうち両端の10市で、間の10市は京都市の3.34倍から新潟市の1.58倍までに並ぶ。相模原市と静岡市は小数第2位まででは同じ1.24倍だ。
区の数は倍率を決めていない。24区の大阪市は3.57倍、18区の横浜市は3.75倍で、10区のさいたま市の7.33倍には届かない。数値が出た区が2つだけの浜松市が3.19倍で、8区の広島市(2.40倍)より上にいる。
倍率の前に件数を見る
同じ市の中でも、区ごとの件数は揃っていない。さいたま市の両端は大宮区335件と西区78件。神戸市は中央区1,021件に対して北区225件。浜松市の3.19倍は326件の中央区と12件の浜名区を比べた値で、他市の倍率と同じ重みでは並べられない。
件数が10件未満の区は中央値そのものを出していない。新潟市と浜松市に数値のある区が2つしかないのはそのためで、数値が出ていない区は取引が0件なのでも価格が0円なのでもない。件数と地区の偏りの読み方は別の記事で扱っている。
㎡単価の順と総額の順はずれる
神戸市兵庫区の㎡単価中央値は508,392円/㎡で、灘区の440,000円/㎡より高い。価格中央値は逆になり、兵庫区2,000万円、灘区3,100万円だ。
さいたま市では見沼区と岩槻区がどちらも価格中央値1,500万円で並ぶが、㎡単価中央値は215,385円/㎡と200,000円/㎡で差がつく。なぜそうなるかは、この集計の数字だけからは決まらない。総額の見当をつけるなら価格中央値、広さあたりの高さを比べるなら㎡単価、と分けて読むことになる。
この数字が動く余地
直近の四半期は公表が進行中で、件数が確定していない。 ここに並ぶ倍率は2026年9月1日時点の集計値で、後の公表によって変わりうる。
母集団の性質も効く。仲介を通らない取引は成約価格情報に入らず、アンケートに答えなかった当事者の取引は不動産取引価格情報に入らない。出典によれば集計行の過半は一方の母集団だけで出来ており、片側だけの行はその母集団を代表しているにすぎない。
そのうえで残るのは、市の内側の落差だ。さいたま市や神戸市を候補にしているなら、市の名前で予算を決めた時点で、どの区の話をしているのかが抜けている。市内でも区によって、㎡単価中央値には最大で数倍の差がある。