千葉県銚子市の宅地(土地)は、価格中央値が225万円だった。同じ4四半期の取引では、25%点(第1四分位数)が13万円、75%点(第3四分位数)が615万円で、二つの境界値の比は47.31倍になる。取引の25%は13万円以下、別の25%は615万円以上に位置し、13万円と615万円は各グループの平均価格ではない。
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報から、2025Q2・2025Q3・2025Q4・2026Q1の4四半期をまとめ、市区町村と種類の組み合わせで件数30件以上ある2,020行について、価格の75%点が25%点の何倍かを出した。倍率の中央値は2.87倍。半分の行はこれより狭い幅に収まり、残りの半分はもっと広い。
3倍で収まらない行
| 市区町村(種類) | 25%点 / 中央値 / 75%点 | 倍率(件数・地区数) |
|---|
| 千葉県銚子市(宅地(土地)) | 13万円 / 225万円 / 615万円 | 47.31倍(44件・28地区) |
| 栃木県那須郡那須町(宅地(土地)) | 13万円 / 145万円 / 400万円 | 32.00倍(50件・7地区) |
| 山梨県南都留郡鳴沢村(宅地(土地)) | 45万円 / 400万円 / 1,025万円 | 22.78倍(36件・1地区) |
| 広島県三次市(宅地(土地と建物)) | 165万円 / 550万円 / 2,750万円 | 16.67倍(34件・16地区) |
| 京都府亀岡市(宅地(土地)) | 175万円 / 1,400万円 / 2,900万円 | 16.57倍(39件・22地区) |
出典:「不動産価格情報」(国土交通省)をもとに当サイトが市区町村別に集計・加工したもので、2025Q2〜2026Q1の4四半期分。数値は中央値および四分位であって平均値ではない。
亀岡市の宅地(土地)は、中央値1,400万円が75%点の2,900万円寄りにある。25%点の175万円との間が特に開いていて、真ん中の数字を見ただけでは下側の厚みが見えない。四分位を三つ並べて初めて、中央値が幅のどのあたりに立っているかが分かる。
件数が少ないから荒れている、とも限らない。三重県伊賀市の宅地(土地)は163件で15.40倍、三重県津市の宅地(土地)は261件で13.64倍あり、件数が3桁になっても幅は縮まっていない。津市は取引のあった地区が118、伊賀市は47ある。広い市域の取引をひとつの行にまとめれば、条件の違う土地が同じ集計に入る。
幅が開くのは地方の町だけではない。福岡県北九州市門司区の宅地(土地)は41件・31地区で16.15倍あり、25%点が260万円、中央値が900万円、75%点が4,200万円だった。政令指定都市の区という単位でも、四分位の幅は大きい。ここでも中央値だけでは分布の広さは分からない。
逆に、狭い範囲の取引が幅を作っている行もある。鳴沢村の宅地(土地)は地区数が1で、36件すべてが同じ地区の取引だ。これは村の相場ではなく、その地区の値段である。長野県諏訪郡下諏訪町の宅地(土地と建物)も地区数2で16.26倍だが、2つの地区にどう分かれているかは分からない。件数と地区数をセットで読む話は/posts/reinfolib-thin-samples-district-bias/で書いた。
四分位の幅が小さい行
| 市区町村(種類) | 25%点 / 中央値 / 75%点 | 倍率(件数・地区数) |
|---|
| 滋賀県栗東市(中古マンション等) | 2,200万円 / 2,350万円 / 2,700万円 | 1.23倍(30件・4地区) |
| 愛知県丹羽郡扶桑町(宅地(土地と建物)) | 2,350万円 / 2,700万円 / 2,950万円 | 1.26倍(43件・6地区) |
| 東京都稲城市(宅地(土地と建物)) | 4,600万円 / 5,200万円 / 5,800万円 | 1.26倍(176件・10地区) |
| 千葉県千葉市美浜区(宅地(土地と建物)) | 4,200万円 / 4,700万円 / 5,400万円 | 1.29倍(113件・9地区) |
| 静岡県駿東郡長泉町(宅地(土地と建物)) | 3,725万円 / 4,300万円 / 4,800万円 | 1.29倍(34件・10地区) |
出典:同上。
稲城市の宅地(土地と建物)は176件あって25%点でも4,600万円、75%点で5,800万円。この街のこの種類では、25%点4,600万円から75%点5,800万円の範囲に中央50%の取引が入る。東京都小平市の宅地(土地と建物)は486件で1.38倍だった。件数が多いことが幅の広さにも狭さにも直結しないのは、津市や伊賀市と並べると分かる。
狭い側の20行は価格帯が数千万円台のものが多い。ただし、価格が高い街ほど幅が狭いという関係があるのかどうかは、上下20行ずつの並びだけでは判断できない。
幅の理由は、この数字からは出てこない
築年数、駅からの距離、土地や専有部分の広さ。どれもこの集計に列がないため、47.31倍がどこから来たのかは特定できない。古い家の付いた土地と分譲地が同じ行に入っている可能性はあるが、それは推測であって、ここで確かめられることではない。
母集団もひとつではない。この価格情報には、登記をもとにした当事者アンケートの「不動産取引価格情報」と、宅建業者が仲介した成約の「成約価格情報」の2つが入っていて、中央値も四分位も両方のレコードをまとめて算出している。仲介を通らない取引は後者に入らず、アンケートに答えなかった人の取引は前者に入らない。集計行の過半は、どちらか一方の母集団だけで出来ている。
四分位は4四半期のレコードをまとめたもので、値動きではない。直近の四半期は公表が進行中で、件数が確定していない。
予算と見くらべるときの順番
- 中央値の隣にある25%点と75%点を見る。幅が3倍を超えるなら、その街の相場を一つの数字で言うのをやめる。
- 件数と取引のあった地区数を確認する。地区数が1桁なら、市区町村全体ではなく一部の地区の値段を見ている可能性がある。
- 種類をまたいで比べない。中古マンション等、宅地(土地と建物)、宅地(土地)は価格の意味が違い、㎡単価の分母も違う。
同じ価格帯でも中身が違うことは/posts/mansion-area-vs-unit-price-same-budget/でも見た。幅の広い行では、その違いが一つの市区町村の中に同居している。