愛知県大府市の中古マンションは、価格中央値2,000万円で面積中央値85㎡。大阪市浪速区も価格中央値は2,000万円で、面積中央値は25㎡。同じ総額でも、確認できた範囲では広さが大きく違う。
もとになっているのは国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報で、それを市区町村別に集計・加工した数字だ。国土交通省が公表した統計ではない。集計期間は2025Q2から2026Q1までの4四半期分、対象は中古マンション等のうち件数30件以上の434行。値はすべて中央値であって、平均値ではない。
価格中央値2,000万円で並ぶ8つの街
価格中央値が2,000万円でそろう市区町村を、面積中央値の広い順と狭い順の両側から拾うと、こうなる。
| 市区町村 | 面積中央値 | ㎡単価中央値 |
|---|
| 愛知県大府市 | 85㎡ | 247,619円/㎡ |
| 北海道札幌市西区 | 80㎡ | 266,667円/㎡ |
| 北海道札幌市厚別区 | 80㎡ | 247,059円/㎡ |
| 大阪府大阪市生野区 | 55㎡ | 413,333円/㎡ |
| 大阪府大阪市淀川区 | 50㎡ | 462,019円/㎡ |
| 兵庫県神戸市兵庫区 | 45㎡ | 508,392円/㎡ |
| 福岡県福岡市博多区 | 40㎡ | 500,000円/㎡ |
| 大阪府大阪市浪速区 | 25㎡ | 850,000円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報をもとに市区町村別に集計(2025Q2〜2026Q1、中古マンション等、件数30件以上)
この8市区町村の中で、面積中央値の両端は大府市の85㎡と浪速区の25㎡。㎡単価中央値の両端は浪速区の850,000円と厚別区の247,059円になる。広さと単価がほぼ裏返しに動いていて、総額はどちらの側でも2,000万円に落ち着く。どちらが得かは、この表からは出てこない。出ているのは交換条件そのものだ。
広い側に愛知と北海道、狭い側に大阪・兵庫・福岡の都市部が並ぶ。ただし「都市部だから狭い」と言い切るところまでは、この集計は支えない。築年数も駅からの距離も間取りも数字に入っていないので、面積差がどこから来ているかは推測にとどまる。
価格帯を変えても面積と単価は入れ替わる
同じことは上の価格帯でも起きる。価格中央値が一致する組を、帯ごとに一つずつ取り出した。
| 価格中央値 | 面積中央値が広い側 | 面積中央値が狭い側 |
|---|
| 2,300万円 | 千葉県印西市 85㎡(253,333円/㎡) | 神奈川県横浜市南区 50㎡(560,000円/㎡) |
| 3,100万円 | 愛知県長久手市 80㎡(381,818円/㎡) | 神奈川県川崎市川崎区 55㎡(714,286円/㎡) |
| 4,000万円 | 神奈川県中郡大磯町 80㎡(430,000円/㎡) | 大阪府大阪市福島区 60㎡(866,667円/㎡) |
| 4,600万円 | 東京都江戸川区 70㎡(670,588円/㎡) | 東京都杉並区 50㎡(980,000円/㎡) |
出典:同上
4,600万円で並ぶ江戸川区と杉並区は、どちらも東京都だ。面積中央値は70㎡と50㎡、㎡単価中央値は670,588円と980,000円。2,000万円帯の大府市と浪速区ほどは開いていないが、同じ総額の中で広さと単価が入れ替わる構図は残っている。23区の中だけで㎡単価を並べ直した結果は東京23区の中古マンション㎡単価にある。
帯が上がるほど開きが縮むかどうかは、ここまでの数字では決められない。各帯から取り出しているのは面積中央値の広い順・狭い順の上位8行で、帯に含まれる全部の行ではない。集計全体では面積中央値は25㎡から90㎡まで広がっている。
3つの中央値は掛け算でつながらない
印西市の面積中央値85㎡と㎡単価中央値253,333円/㎡を掛けても、価格中央値2,300万円とは一致しない。面積中央値・価格中央値・㎡単価中央値はそれぞれ別に計算した中央値なので、掛け合わせて一致する関係にない。表の3つの数字をつなげて「この街の標準的な1戸」を組み立てると、実在しない部屋ができあがる。
㎡単価の分母も種類ごとに違う。中古マンション等は専有面積1㎡あたりで、宅地は土地面積1㎡あたりだ。分母が違うまま並べた㎡単価は比較にならない。土地と建物付き宅地でどれだけ㎡単価がずれるかは建物付き宅地の㎡単価で扱っている。
集計に入っている取引、入っていない取引
この数字のもとには、性格の違う2つの記録が混ざっている。不動産取引価格情報は登記をもとにした当事者アンケートで、回答した人のぶんだけ入る。成約価格情報は宅建業者が仲介した成約なので、仲介を通らない取引は入らない。中央値は両方のレコードをまとめて算出していて、どちらか一方の「相場」ではない。
しかも内訳が片方に寄っている行は多く、集計行の過半は一方の母集団だけで出来ている。片側が0件の行は、その母集団を代表していない。
面積が8888・9999のレコードは「上限帯以上」を表す符号で実測値ではないため、㎡単価と面積の集計からは除いてある。価格そのものは件数に含む。直近の四半期は公表が進行中で、件数が確定していない。
総額が同じ物件を見るときの順番
総額で検索すると、広さの違う街が同じ結果に並ぶ。2,000万円の行に大府市の85㎡と浪速区の25㎡が同居しているのは、値段の付き方が違うからで、片方が安いからではない。
だから先に見るのは価格帯の中の位置ではなく、その街が面積と単価のどちらに寄っているかだ。㎡単価中央値が周囲より高い街は、同じ総額で戻ってくる広さがそのぶん小さい。中央値は取引を小さい順に並べた中央付近の値なので、個々の取引の広さや単価がこの値になるわけではない。