ふるさと納税は、自治体への寄附を「寄附金控除」として扱う仕組みだ。寄附した額から自己負担の定額分2,000円を除いた部分が、所得税からの控除、住民税の基本分、住民税の特例分の三つに分かれ、払う税金から差し引かれる。
LifeKurabe の手取り試算(2026年度、東京都・35歳・扶養なし・協会けんぽ・給与収入のみ)では、年収500万円の上限の目安は58,000円になる。この額を寄附すると所得税2,800円、復興特別所得税58円、住民税の基本分5,600円、特例分47,541円が減り、残る自己負担は2,001円。上限を決めているのは特例分で、住民税の所得割238,000円の2割、47,600円が特例分の限度になっている。
寄附58,000円はどこに割り振られるか
| 区分 | 減る額 |
|---|
| 所得税 | 2,800円 |
| 復興特別所得税 | 58円 |
| 住民税の基本分 | 5,600円 |
| 住民税の特例分 | 47,541円 |
| 自己負担として残る額 | 2,001円 |
出典:LifeKurabe 手取りツールの2026年度算出結果(年収500万円・東京都・35歳・扶養なし・協会けんぽ)
控除の対象になるのは、58,000円から2,000円を引いた56,000円だ。数字の上では、所得税の2,800円はその5%、住民税の基本分5,600円はその10%にあたる。5%はこの年収での所得税の限界税率(課税所得のうち一番上の区分にかかる率)と同じ値である。
特例分は「90% − 所得税率×1.021」の割合で決まる。限界税率5%なら90% − 5.105%で84.895%、56,000円に掛けると47,541円になり、表の値と一致する。三つの中で特例分が圧倒的に大きいのはこのためだ。
差し引かれる側の税額はいくらあるか
控除は、もともと払う税額があって初めて効く。同じ年収500万円の内訳を見ると、給与所得控除1,440,000円を引いた給与所得は3,560,000円。そこから社会保険料723,148円と所得税の基礎控除1,040,000円を引いた課税所得は1,796,852円で、所得税(復興特別所得税を含む)は91,686円になる。
住民税は242,000円。中身は、所得に応じてかかる所得割238,000円と、所得に関係なく定額の均等割4,000円の合計だ。特例分の限度は所得割にだけ結びついていて、均等割は関係しない。森林環境税1,000円は均等割と一緒に納めるが、国税で住民税の額には含まれない。年収から税額までの順序は手取りが決まる五段階で詳しく追っている。
年収別の上限は所得割に沿って並ぶ
| 年収(所得税の限界税率) | 住民税の所得割 | 上限の目安 |
|---|
| 300万円(5%) | 110,600円 | 28,000円 |
| 400万円(5%) | 170,500円 | 42,000円 |
| 500万円(5%) | 238,000円 | 58,000円 |
| 600万円(10%) | 302,200円 | 77,000円 |
| 800万円(20%) | 448,000円 | 130,000円 |
| 1,000万円(20%) | 632,800円 | 183,000円 |
出典:LifeKurabe 手取りツールの2026年度算出結果(東京都・35歳・扶養0人・協会けんぽ、自己負担が2,000円に収まる寄附額の目安)
所得割が増えるほど上限も上がる。ただ、上がり方は一定ではない。所得割に対する上限の比率は、年収500万円で約24%(58,000円÷238,000円)、1,000万円で約29%(183,000円÷632,800円)と、税率の段を越えると大きくなる。
税率が上がると上限の比率が広がる理由
特例分の割合は所得税率が上がるほど下がる。限界税率20%なら90% − 20.42%で69.58%だ。寄附1円あたりの特例分が小さくなるので、所得割の2割という同じ天井に届くまでに、より多く寄附できる。
試しに、所得割の2割を特例分の割合で割り戻して2,000円を足すと、500万円は約58,069円(47,600円÷84.895%+2,000円)、1,000万円は約183,891円(126,560円÷69.58%+2,000円)になる。表の目安はどちらもこれをわずかに下回る千円単位の値だ。500万円と600万円、600万円と800万円の間で限界税率が変わるため、上限はその境で段のように動く。
手続きはワンストップ特例か確定申告か
給与所得者で確定申告をしない人は、ワンストップ特例を使える。条件は寄附先が5団体以内であることと、申請が寄附した年の翌年1月10日までに届くことだ。
確定申告をする場合はこの特例が使えず、申告書に寄附金控除を書くことになる。どちらの方法でも、その年分として扱われるのは年内にした寄附である。
表の目安から外れる人
この表はあくまで目安として作られている。住民税の所得割は前年の所得にかかるのに対し、所得税率は当年の所得で決まるため、年内に収入や控除が変われば上限も動く。医療費控除などを申告して所得割が下がれば、上限もそれに合わせて下がる。
試算の前提にも幅がある。協会けんぽ以外の組合健保や共済組合では保険料率が違う。年収を全額月給として扱っているので、賞与の比率が高い人は保険料が多めに出る。政令指定都市では住民税の配分と端数処理の違いで合計が100円ずれることがあり、超過課税を上乗せする自治体の分は含まれていない。所得割の2割から上限を見る考え方は住民税所得割と上限の関係でも扱っている。