【フラット35】の返済負担率は、住宅ローンとほかの借入を合わせた年間の返済額が、額面の年収のどれだけを占めるかの割合だ。基準は年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下で、自動車ローンなどの返済があると、その分だけ住宅ローンに回せる枠が小さくなる。金利3.83%(2026年10月の借入期間21年〜35年で最も多い金利)、35歳で35年の元利均等返済、ほかの借入の返済が毎月30,000円という条件で計算すると、年収500万円の借入上限は2,677万円になる。この金利は融資率9割以下・新機構団信付きの場合のもので、すべての融資条件に共通する金利ではない。
この上限は、審査で認められる返済額の最大値から逆算した試算額だ。無理なく返せる額を示すものではない。生活費・教育費・固定資産税・修繕費は判定に入っていないので、上限まで借りられることと、上限の額を毎月払い続けられることは別の話になる。
分母は額面の年収、分子はすべての借入の返済額
年収に基準の割合を掛けた額が、すべての借入に使える年間返済額の上限になる。そこからほかの借入の年間返済額を引いた残りが、住宅ローンに使える枠だ。
年収400万円なら、400万円×35%で140万円。ほかの借入が毎月30,000円(年360,000円)あれば、住宅ローンに使えるのは1,040,000円、月にすると86,667円になる。この返済額を金利3.83%・35年で割り戻した額が、上限の2,003万円だ。
給与収入だけの場合、分母は手取りでなく額面の年収である点は見落としやすい。税や社会保険料を引いた後の手元の額から見ると、同じ35%でも負担の重さはもっと大きく感じられるはずだ。400万円を境に返済負担率の上限は30%から35%へ切り替わり、同じ年収400万円で比べた基準割合の差は年20万円の返済枠に当たる。
月3万円のほかの借入がある場合の年収別の上限
| 年収 | 住宅ローンに使える年間返済額 | 借入上限 |
|---|
| 400万円 | 1,040,000円 | 2,003万円 |
| 500万円 | 1,390,000円 | 2,677万円 |
| 600万円 | 1,740,000円 | 3,351万円 |
| 700万円 | 2,090,000円 | 4,025万円 |
| 800万円 | 2,440,000円 | 4,699万円 |
出典:住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件・金利情報をもとにした当サイトの算出(確認日2026年10月2日)。金利3.83%、元利均等、申込時35歳・借入期間35年、ほかの借入の返済毎月30,000円。表は1万円未満切り捨て。
表の5行はすべて35%の区分に入る。年収が100万円増えるごとに使える年間返済額は35万円ずつ増え、上限は674万円ずつ上がる。
ほかの借入の重さも同じ物差しで測れる。この条件では毎月の返済額と借入上限の比がどの年収でも同じなので、毎月30,000円の返済は、30,000円÷86,667円×2,003万円でおよそ690万円分の枠を使っている計算になる。表の上限は、ほかの借入がない場合よりその分だけ小さい。ほかの借入がない場合の上限そのものは、この表には載っていない。
申込時の年齢で期間の上限も変わる
借入期間は15年以上で、35年と「80歳−申込時の年齢」の短いほうが上限になる。35歳なら35年を選べるが、50歳で申し込むと最長は30年だ。同じ毎月の返済額でも期間が短いほど割り戻せる元本は小さくなるので、表の上限は申込時35歳を前提にした値として読む。借入額そのものは100万円以上12,000万円以下という枠もある。
候補の県の中古マンション相場を横に置く
転勤や住み替えで候補になりやすい4県について、中古マンション等の価格中央値を並べた。中央値は取引を価格順に並べた真ん中の値で、取引の半分はこれより高い。
| 都道府県 | 全体の価格中央値(件数) | 3LDKの価格中央値(件数) |
|---|
| 宮城県 | 2,100万円(2,005件) | 2,500万円(972件) |
| 埼玉県 | 2,500万円(8,400件) | 2,900万円(4,696件) |
| 広島県 | 2,400万円(1,510件) | 2,400万円(731件) |
| 福岡県 | 2,000万円(6,155件) | 2,600万円(2,361件) |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報をもとに当サイトが集計・加工(2025年第2四半期〜2026年第1四半期の4四半期、取得2026年9月1日)。国土交通省が公表した統計ではない。
数字は、その県にある物件の取引をまとめた中央値だ。当事者アンケートによる取引価格と、仲介の成約価格という二つの母集団を合わせて算出している。県内のどこで取引が多いか(都心か郊外か)がそのまま入るので、同じ県でも街によって相場は大きく違いうる。直近の四半期は公表が進行中で、件数はまだ確定していない。
並べると、読み方の目安が見えてくる。月30,000円のほかの借入がある年収400万円の上限2,003万円は、福岡県の全体中央値2,000万円とほぼ同じで、宮城県・広島県・埼玉県の中央値は下回る。年収500万円の2,677万円は4県の全体中央値をすべて上回るが、3LDKに絞ると埼玉県の2,900万円には届かない。築年数でも差は大きく、築5年以内の中央値は4県で4,300万〜4,700万円、築31〜40年は1,300万〜1,500万円だった。
ここで比べているのは、物件の価格と返済負担率から試算した借入上限という性質の違う二つの数字だ。融資率や購入価額、物件の条件、金融機関の審査結果によって実際に借りられる額は異なる。上限が中央値を上回っても、その価格帯の返済を家計が続けられるかは、生活費や修繕費を含めて別に見積もる必要がある。表で使った3.83%は2026年10月の最頻金利で、融資率9割以下の公表金利には3.83%〜5.84%の幅がある。適用金利が高ければ、同じ返済額で逆算できる借入元本は小さくなる。条件を変えた場合の試算は返済負担率と金利の試算でも比較している。
候補の県を比べるときは、まず自分の年収の区分(30%か35%か)と、ほかの借入の毎月の返済額を確かめる。そのうえで上限を出し、候補の県の中央値と、希望する間取りや築年数の中央値を並べると、どの条件で差が開くのかが見えやすい。