2023年の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)の都道府県別・年齢階級別データから推計した平均年収を、47都道府県それぞれ同じ重みでならすと、50〜54歳が534万円、55〜59歳が535万円。差は1万円だ。これは全国の労働者数で加重した全国平均ではない。
この1万円差は、各都道府県の数字が動かないという意味ではない。上がる県と下がる県が混ざれば、47県の単純平均の差は小さくなる。実際、東京都は47万円増え、三重県は39万円減っている。
この数字が誰の数字か
対象は一般労働者、企業規模10人以上、産業計、男女計。推計年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で当サイトが計算したもので、税や社会保険料を引く前の額面である。
平均値であって中央値ではない。高い人がいれば上に引っ張られるので、「半分の人がこの額」とは読めない。都道府県の区分が勤務先の場所を指すのか住んでいる場所を指すのかも、この集計からは分からない。
動きが大きいのは上下それぞれ5県ほど
| 都道府県 | 55〜59歳 | 50〜54歳からの差 |
|---|
| 東京都 | 747万円 | +47万円 |
| 兵庫県 | 631万円 | +37万円 |
| 福井県 | 544万円 | +30万円 |
| 栃木県 | 676万円 | +28万円 |
| 神奈川県 | 694万円 | +20万円 |
| 宮崎県 | 439万円 | -19万円 |
| 静岡県 | 567万円 | -23万円 |
| 青森県 | 411万円 | -26万円 |
| 佐賀県 | 475万円 | -27万円 |
| 北海道 | 501万円 | -32万円 |
| 三重県 | 561万円 | -39万円 |
出典:賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_年齢階級別DB」2023年。一般労働者・企業規模10人以上・産業計、男女計。推計年収は当サイト算出。
55〜59歳が50〜54歳を下回るのは18都道府県、上回るのは28都道府県。宮城県は538万円で前半と後半が同じだった。
下がる側は地方ばかりではない。千葉県は2万円、滋賀県は3万円、茨城県は4万円、埼玉県は9万円それぞれ減る。ただしこの水準の動きは、三重県や北海道のような二桁の減り方とは分けて見たほうがいい。
上がる側にも幅がある。群馬県は17万円、愛媛県は16万円、沖縄県は15万円増える。和歌山県の1万円、山形県の2万円のように、名目上は増えていてもほとんど動かない県もある。
順位の入れ替わり方
三重県は50〜54歳で6位(600万円)だが、55〜59歳では15位(561万円)になる。北海道は22位から32位、佐賀県は31位から38位へ。逆に福井県は29位から18位、愛媛県は35位から29位へ上がる。
上位の顔ぶれも少し動く。50〜54歳では東京都、神奈川県、大阪府、栃木県、愛知県の順だが、55〜59歳では栃木県が3位に上がって大阪府と入れ替わる。
開きは263万円から336万円へ
50〜54歳の最高は東京都700万円、最低は青森県437万円で、差は263万円。55〜59歳では東京都747万円と青森県411万円になり、336万円まで開く。73万円の拡大は、上が伸びたことと下が落ちたことの両方で起きている。
理由は数字の外にある
差がどこから来るのかは、この統計からは読み取れない。産業構成や事業所規模の違い、役職定年や再雇用の広がり方など説明はいくつも立てられるが、どれがどれだけ効いているかを示す数字はここに含まれていない。理由の部分は推測にとどまる。
もう一つ、読むときに外せない前提がある。50〜54歳も55〜59歳も同じ2023年の調査の数字で、同じ人を5年間追った記録ではない。今50代前半の人が5年後にどうなるかを示すものではなく、2023年の時点で両方の年齢層を並べた断面である。年齢階級をまたぐ段差の見方は40代前半から後半の比較と同じ読み方になる。
個人の将来ではなく、年齢層間の地域差として読む
この比較で分かるのは、2023年時点における各県の50〜54歳層と55〜59歳層の平均年収の差だ。下がる18都道府県と上がる28都道府県があることは地域差を示すが、現在50〜54歳の人の5年後や、個人の収入の増減を見積もる係数にはならない。
県ごとの水準そのものを確かめたいなら、都道府県別の平均年収を先に見たほうが早い。ここで示した増減は、その水準の上で二つの年齢層にどれほど差があるかという話である。