2023年の賃金構造基本統計調査で、きまって支給する現金給与額の平均が最も高いのは東京都の39.7万円、最も低いのは青森県の27.2万円だった。差は12.5万円ある。対象は一般労働者(企業規模10人以上・産業計)の男女計・年齢計で、都道府県は事業所の所在地で分けている。金額は税と社会保険料を引く前の額面の平均値で、賞与を含まない。
奈良県は月収32.9万円で14位だが、当サイトが賞与も含めて換算した推計年収は469万円で20位になる。月額給与だけで並べた順位と、賞与を加えた順位はそろわない。月収は調査時点の給与であり、手取りや年収そのものを示す値ではない。
47都道府県の値を足して47で割った単純平均は31.6万円になる。働く人の数で重みを付けた全国平均とは別物だ。この単純平均を上回るのは、1位の東京都から25位の石川県(31.7万円)までの25都府県で、26位の長野県(31.3万円)以下の22道県は下回る。平均値なので、給与の高い人が一部にいると引き上げられる。並んでいるのは「県の真ん中の人の月収」ではない。
残業代を抜いた所定内給与額では、東京と青森の差は11.9万円
ここでいう月収には残業代や休日出勤の手当が入っている。それらの超過労働給与額を除いたのが所定内給与額で、東京都は36.9万円、青森県は25.0万円、47都道府県の単純平均は29.0万円だった。両端の差は月収の12.5万円から11.9万円へ少し縮む。
月収から所定内給与額を引くと、残業などで上乗せされている分の目安が出る。単純平均同士の差は2.6万円。県別では愛知県の3.5万円(35.7万円−32.2万円)が最も大きく、神奈川県と三重県が3.4万円で続く。小さいのは秋田県と鳥取県の1.8万円だ。どの値も0.1万円単位に丸めた数字の引き算なので、0.1万円程度の誤差はありうる。
この差が順位を入れ替える場面もある。月収では愛知県が4位、栃木県が5位だが、所定内給与額は栃木県32.3万円、愛知県32.2万円で逆になる。秋田県も月収は27.9万円で44位にとどまる一方、所定内給与額の26.1万円は岩手県(26.0万円)、鳥取県(25.8万円)、長崎県(25.7万円)、山形県(25.6万円)を上回る。残業の多い少ないを除くと、下位の並びはかなり入れ替わる。
月収の順位と推計年収の順位が食い違う県
推計年収は、LifeKurabe が「月収×12+年間賞与その他特別給与額」で算出した換算値だ。厚労省の調査概要によると、給与は調査対象月の額、賞与は前年の年間支給額を調べている。異なる期間の値を組み合わせているため、その年に実際に受け取った年収ではない。月収の順位と推計年収の順位はほとんどの県で近いが、数県でずれる。
| 都道府県 | 月収の順位 → 推計年収の順位 | 月収 / 推計年収 |
|---|
| 奈良県 | 14位 → 20位 | 32.9万円 / 469万円 |
| 沖縄県 | 40位 → 44位 | 28.5万円 / 392万円 |
| 宮城県 | 23位 → 26位 | 31.9万円 / 455万円 |
| 埼玉県 | 7位 → 9位 | 34.7万円 / 497万円 |
| 千葉県 | 11位 → 13位 | 33.8万円 / 487万円 |
| 山梨県 | 21位 → 18位 | 32.0万円 / 471万円 |
| 和歌山県 | 17位 → 15位 | 32.6万円 / 473万円 |
| 長崎県 | 43位 → 41位 | 27.9万円 / 402万円 |
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年(e-Stat「令和2年以降 一般_都道府県別_年齢階級別DB」)、推計年収はLifeKurabe算出
推計年収は月収の12倍に賞与を足しただけなので、順位のずれは賞与の差から来る。奈良県と山梨県で見ると、月収は奈良県が0.9万円高いのに、推計年収は山梨県が2万円上回る。推計年収から月収の12倍を引くと、賞与などは奈良県が約74万円、山梨県が約87万円になる。丸めた値からの逆算なので、1万円前後の誤差を含む。
埼玉県と京都府も同じ形だ。月収は埼玉県が0.4万円高いが、推計年収は京都府の502万円が埼玉県の497万円を上回る。沖縄県は月収28.5万円で岩手県、山形県、長崎県、秋田県より高いのに、推計年収の392万円はこの4県のどれよりも低い。同じ逆算で沖縄県の賞与などは約50万円となり、月収の差を年間で打ち消している。県ごとの賞与の開きは年間賞与の都道府県差で比べている。
自分の給与と並べるときの読み方
比べる相手を揃えると読み違いが減る。厚労省Q&Aでは地域を事業所の属する都道府県としているので、住んでいる県の住民平均ではなく、勤務先の地域の数字として読む。残業代を含めた額面の毎月の給与なら月収の列、残業代を除いた額面なら所定内給与額の列が近い。手取りや賞与込みの年収をこの表の月収と比べると、物差しが合わない。
もう一つは年齢の混ざり方だ。ここでの数字は男女計・年齢計なので、20代と50代の給与が一つの平均に入っている。若い人が多い職場や県では平均が下がりやすく、同じ県の中でも年齢層が変われば水準は大きく違う。自分の年代と比べたいなら、年齢別の推計年収のように年齢をそろえた数字のほうが参考になる。
最後に、これは企業規模10人以上で働く一般労働者の平均で、業種も混ざっている。県の順位が低いことは、その県のどの仕事も給与が低いという意味にはならない。月収と所定内給与額の差が大きい県は残業代の比重が高く、月収と年収で順位がずれる県は賞与の比重が違う。この二つの差を見ると、同じ「月収」の数字でも中身が県によって違うことが分かる。