年収500万円の会社員は、40歳になると1年間の手取りが39歳のときより33,961円少なくなる。健康保険料に介護保険料が上乗せされるからだ。ただ、その年に払う介護保険料は39,852円で、手取りの減りはそれより6,000円近く小さい。保険料が増えると所得税と住民税が減るので、上乗せされた保険料がまるごと手取りから消えるわけではない。
40歳から64歳までは介護保険の第2号被保険者になり、健康保険料と一緒に介護保険料を納める。2026年度(令和8年度)の協会けんぽの介護保険料率は**全国一律1.62%**で、会社と本人が半分ずつ負担する。本人の負担は年収のおよそ0.8%にあたる。年収300万円から1,000万円までの6段階で、39歳と40歳とで1年分の手取りがいくら違うかを、当サイトの2026年度の手取り計算で並べた。
年収別に見る介護保険料と手取りの減り
| 年収 | 介護保険料(年額・本人負担) | 手取りの減り(39歳との差) |
|---|
| 300万円 | 25,272円 | 21,496円 |
| 400万円 | 33,048円 | 28,063円 |
| 500万円 | 39,852円 | 33,961円 |
| 600万円 | 48,600円 | 39,000円 |
| 800万円 | 66,096円 | 45,615円 |
| 1,000万円 | 80,676円 | 56,036円 |
出典:当サイトの2026年度手取り計算(協会けんぽ 令和8年度 都道府県毎の保険料率と東京支部の保険料額表、日本年金機構 厚生年金保険料額表、厚生労働省 令和8年度雇用保険料率、国税庁タックスアンサー No.2260・No.1410・No.1199をもとに算出。東京都・扶養なし、2026年9月14日再計算)
介護保険料は年収にほぼ比例して増えるが、年収に本人負担分の0.81%を掛けた額とはぴったり合わない。年収300万円なら0.81%は24,300円なのに、表の保険料は25,272円だ。年収600万円は48,600円で一致し、年収500万円は40,500円より648円少ない。保険料が年収そのものではなく、月給を区切った標準報酬月額の等級にかかるためで、月給が等級の境目のどちら側に落ちるかで上下にずれる。境目をまたいだときに手取りが動く仕組みは、昇給で手取りが減る境界の記事で扱った。
手取りの減りは、どの年収でも介護保険料より小さい。年収300万円では保険料25,272円に対して減りは21,496円、年収1,000万円では80,676円に対して56,036円で、保険料と減り幅の差は年収が高いほど開く。
保険料の全額が手取りから消えない理由
社会保険料が増えると、増えた分に応じて所得税と住民税が減る。介護保険料も社会保険料なので、40歳から払う分は税金を押し下げる。手取りの減りが保険料より小さいのはこのためだ。
表の数字で割合を出すと、手取りの減りは年収300万円から500万円で保険料の85%前後、600万円で80%、800万円と1,000万円で70%弱にとどまる。言い換えると、年収300万円の人は保険料の15%ほど、年収1,000万円の人は30%ほどが、所得税と住民税の減少で相殺される。還付で現金が戻るのではなく、納める税額が減る。
年収が高いほど相殺される割合が大きいのは、所得税の税率が所得に応じて上がる仕組みが効いているとみられる。ただしこれは表の数字からの推測で、割合の段が年収いくらで切り替わるかは、300万円から1,000万円までの6段階からは読み取れない。年収550万円の人が85%側なのか80%側なのかは、表だけでは決まらない。
月にすると1,800円から4,700円
年額を12で割ると、40歳からの負担が月の単位で見える。手取りの減りは年収300万円で月に約1,800円、500万円で約2,800円、1,000万円で約4,700円、介護保険料そのものは月に約2,100円、約3,300円、約6,700円で、その差が所得税と住民税の減少分にあたる。
手取りを年収に対する割合で見ると、介護保険料の影響はさらに小さい。年収300万円の手取り率は39歳で80.0%、40歳で79.3%。年収1,000万円では72.7%から72.2%に下がる。介護保険料が動かす手取り率は0.6〜0.7ポイントで、年収の違いによる手取り率の差(300万円と1,000万円で7ポイント以上)のほうがはるかに大きい。
前提から外れる人
この計算の前提は、協会けんぽに加入する東京都の会社員で、扶養家族がいない場合だ。介護保険料率は全国一律なので、標準報酬月額が同じなら保険料の額は他の都道府県でも変わらない。健康保険料率は都道府県ごとに違うため、手取りの絶対額は住む都道府県で前後する。
前提と違う条件で働いている人は、次の点で数字がずれる。
- 組合健保や共済組合の加入者は料率が違い、協会けんぽの1.62%は当てはまらない。
- 年収を全額月給として扱っている。賞与には標準賞与額という別の等級と上限(健康保険は年573万円、厚生年金は月150万円)があり、賞与の比率が高い人は保険料が多めに出ている。
- 標準報酬月額は本来、4〜6月の給与の平均で決まり、9月から翌年8月まで使われる。この計算は月給からそのまま等級を出しているので、年の途中で昇給した人は実際の等級とずれる。
- 住民税は前年の所得にかかり、6月から翌年5月に納める。この計算は同じ年の所得にかけているので、住民税が減る効果は実際には翌年の納付分に現れる。
- 住民税の均等割は標準税率の4,000円、森林環境税は1,000円という前提で計算している。横浜市や茨城県内の市町村のように超過課税を上乗せする自治体の分は、この計算に含まれていない。
- 組合費、財形、社宅費など会社ごとの控除は含んでいない。
自分の年収で見当をつける
39歳と40歳の手取りを並べると次のようになる。自分の手取りに近い行を探せば、40歳からの手取りの目安になる。
| 年収 | 39歳の手取り | 40歳の手取り |
|---|
| 300万円 | 2,400,024円 | 2,378,528円 |
| 400万円 | 3,168,321円 | 3,140,258円 |
| 500万円 | 3,942,166円 | 3,908,205円 |
| 600万円 | 4,662,028円 | 4,623,028円 |
| 800万円 | 5,947,601円 | 5,901,986円 |
| 1,000万円 | 7,274,305円 | 7,218,269円 |
出典:当サイトの2026年度手取り計算(協会けんぽ 令和8年度料率、東京都・扶養なし、2026年9月14日再計算)
表の6段階では、介護保険料は年収の0.8%前後、手取りの減りはその7割弱から8.5割に収まっている。40歳になる年の家計を見積もるなら、年収に0.8%を掛けた額を保険料の目安にし、手取りの減りはその7割弱から8.5割の幅で見ておく。幅のどちら寄りになるかは年収で変わり、その境目は表の6段階からは読み取れない。組合健保の人は、加入する健保組合の介護保険料率に置き換えて同じ手順を踏めばよい。
上乗せは64歳まで続く。年収500万円なら年に33,961円、月にして2,800円ほどの手取りが、40歳を境に減る。